科学技術の進歩やグローバル化がもたらす社会の変容、その背景に潜む複合的な諸問題を人文・社会科学の視点(社会、文化、文学、歴史、哲学、倫理、法律、経済等)から読み解き、科学技術発展の意味や価値と、社会のあり方を探求する、以下の研究を対象とします。
(1)科学技術の進歩に対し、どのような社会を創りたいと考えるのか、またそれをどのように実現していくのかを、人間を起点とした視点から考察する研究。
(2)科学技術の進歩をクリティカルな視点で捉え、人間社会や生活の質への影響について、検証する研究。
(3)科学技術の進歩により言語、文化、社会、地理的な境界が薄れ、一層のグローバル化が進む中で、さまざまなヒトやモノの共生を図る社会システムについての研究。
(4)その他、申請者が考える高度科学技術社会に通底する人文・社会科学研究
(例示)
・科学技術研究の実装や普及による社会変容を、単なる利便性の面ではなく、さまざまな学問
(申請者の専門領域)の視点で読み解くもの。例えば、人間の考え方や行動変化、歴史的データとの比較、文学、政治、経済、倫理的側面からの考察など。
・科学技術研究で得られた成果や情報をどう利用し、社会に活かしていくのか。必要な法制度、リスク対策、正しい知識を持つための教育や、生活面での快適性向上を、人の負担増加を招かないよう適用するための研究。
・科学技術の進歩が人間社会に与える影響についての昨今の議論(代表的な例としては AI
の脅威、環境問題、ゲノム医療や遺伝子組換え食品の是非など)を分析し、問題の構造を明らかにした上で、あるべき社会を考察する研究。
・多文化共生社会(ダイバーシティ・インクルージョン社会)の実現に科学技術はどう寄与しうるのか、民族、文化、社会を考慮した適正技術のあり方など。
・物質的な豊かさから心の豊かさへ価値観の変化が起きている現代の科学技術社会の中で、人文・社会科学研究が果たす役割についての研究。
(1)博士後期課程を有する研究科、同研究科に係る学部に所属の研究者、又は文部科学省研究補助金(科研費)を申請することができる法人(*)所属の研究者を対象とし公募制とする。大学院生の応募可。
(2)所属機関長(総長・学長、研究科長、学部長、理事長、研究所長、直属の上長等)の推薦書を必要とする。
(3)国籍は問わない。
(*)「科学研究費補助金取扱規程(昭和 40 年 3 月 30 日文部省告示第 110 号)」第 2 条第 1 項四や同条第 8 項に定め
る「文部科学大臣が指定する機関」
80万円~100万円程度/1件